WindowsではOSの新規インストールを頻繁に実行することはありませんが、オープンソースのRaspbianでは起動ディスクをいくつコピーしても合法なので、目的別や世代別の起動ディスクを複数所有したり、メジャーアップグレード毎に新規にインストールしたりします。そのようなときに必要となるメールやアカウント設定の移行がThunderbirdではとても簡単で確実に行えます。GmailもWebメールなのでOS毎の移行は必要ありませんが、Thunderbirdならプロバイダーから提供されるメールアカウントでも同じ手順で移行できます。
Thunderbirdのバックアップフォルダーの確認
メニューバーから「編集」→「アカウント設定」をクリックします。
左ペインで「ローカルフォルダー」を選択し、右ペインの項目「メッセージの保存先:」の「参照」ボタンをクリックします。
「メッセージデータの保存先を選択してください」画面が開きます。Thunderbirdの「ローカルフォルダー」以下に保存されたメールは全てこのフォルダーにあるので、ここをバックアップしておくこともできます。この画面で別のフォルダーを指定すれば、保存先をそちらに移動することもできますが、ここでは「キャンセル」ボタンをクリックして閉じます。
次に、左ペインで「サーバー設定」を選択し、右ペインの項目「メッセージの保存先:」の「参照」ボタンをクリックします。
「メッセージデータの保存先を選択してください」画面が開きます。ThunderbirdでGmailの「受信トレイ」と「ごみ箱」に保存されたメールは全てこのフォルダーにあるので、ここをバックアップしておくこともできます。この画面で別のフォルダーを指定すれば、保存先をそちらに移動することもできますが、ここでは「キャンセル」ボタンをクリックして閉じます。
今度は、メニューバーから「ヘルプ」→「トラブルシューティング情報」をクリックします。
別タブで「トラブルシューティング情報」が開くので、項目「プロファイルフォルダー」の「ディレクトリーを開く」ボタンをクリックします。
ファイルマネージャが起動して、”/home/pi/.thunderbird/****.default”が開きます。Thunderbirdの全ての設定とメールがここに保存されているので、このフォルダさえバックアップしておけば、他の環境にインストールされたThunderbirdの同一フォルダに上書きすることで、新たな環境への移行が簡単に行えます。
外付けストレージへのバックアップ先フォルダー作成
バックアップ先のフォルダ―は起動ドライブとは別の外付けストレージに作成します。今回は【STEP-41】でSWAP領域を設定したSSD内に作成しました。
LXTerminalを起動し、コマンド”chmod -R”で外付けストレージへのアクセス権限を取得します。
sudo chmod -R 777
ここまで入力したら半角スペースを空けて「Enter」キーを押さずに待ちます。
ファイルマネージャをもうひとつ起動して、左ペインで”/media/pi”をクリックし、右ペインの外付けストレージを右クリックして出てくるメニューから「パスをコピーする」を選択します。
LXTerminal画面に戻り、カーソル位置で右クリックして出てくるメニューから「貼り付け」を選択し、「Enter」キーを押します。
ファイルマネージャに戻り、右ペインの何もないところで右クリックして出てくるメニューから「新規作成」→「フォルダ」を選択します。
「フォルダの新規作成」画面が現れるので、入力欄にThunderbirdのバックアップ先のフォルダー名を入力して「OK」ボタンをクリックします。
できたバックアップ先のフォルダーをダブルクリックして開いておきます。
Thunderbirdの全設定とメールのバックアップ
バックアップ元を開いたファイルマネージャに戻り、ツールバーの「 ↑ 」ボタンをクリックして親フォルダに移動します。
ふたつのファイルマネージャを横に並べて、バックアップ元のフォルダーごとバックアップ先のフォルダー内にドラッグアンドドロップします。
新規インストール先へのThunderbirdの全設定とメールの移行
Raspbianを新規インストールした新たな環境に初めてThunderbirdをインストールした直後に、バックアップ先のストレージを接続すると「リムーバブルメディアの挿入」画面が現れるので、「OK」ボタンをクリックします。
ファイルマネージャが起動して外付けストレージが開くので、左ペインでバックアップ先のフォルダ―の「+」をクリックして開きます。
左ペインでバックアップした元のフォルダ―をクリックして開きます。
メニューバーから「編集」→「すべて選択」をクリックします。
右ペインで右クリックして出てくるメニューから「コピー」を選択します。
メニューバーから「インターネット」→「Thunderbird電子メールクライアント」をクリックし、インストール後最初の起動をします。
Thunderbirdと共に「Thunderbird のご利用ありがとうございます」画面が現れるので、「このウィンドウを閉じて後で設定する」ボタンをクリックして閉じます。
「Thunderbird のご利用ありがとうございます」画面が閉じたら、すぐに画面右上の「×」ボタンをクリックして閉じます。
現れた隠しフォルダ―から”.thunderbird”の「+」をクリックして開きます。
現れたふたつのフォルダ―の内、”***.default”を選択して開きます。このフォルダーは、Thunderbirdを一度起動しておかないとできないフォルダーです。
右ペインで右クリックして出てくるメニューから「貼り付け」を選択し、先程バックアップ先でコピーした全てのフォルダ―とファイルを貼り付けます。
「ファイルを置き換えるときは確認する」画面が現れるので、「このオプションを既存のすべてのファイルに適用する」のチェックボックスにチェックを入れ、「上書きする」ボタンをクリックします。
Thunderbirdの全設定とメールの移行を確認する
再び、メニューバーから「インターネット」→「Thunderbird電子メールクライアント」をクリックして起動します。
バックアップ元のメールが保存されていることを確認したら、メニューバーから「編集」→「アカウント設定」をクリックします。
開いた「アカウント設定」画面の左ペインに元のアカウント設定が表示されていることを確認します。
次に、メニューバーから「編集」→「設定」をクリックします。
開いた「Thunderbird の設定」で元の設定が反映されていることを確認します。