CS-0章 コンピュータサイエンスを学ぶ前に
【CS0-01】生活の中に溶け込んでいるコンピュータ
本格的にコンピュータサイエンスを学ぶ前に、まずは私たちの生活の中でコンピュータがどのようなところにあって、何に使われて、どんな状況になっているのかを見ていきましょう。ここではなるべく簡単な言葉で概要を説明していきますが、いろいろな専門用語も出てくるかもしれません。これらは今後詳しく紹介していきますので、今回はさらっと読み進めていきましょう。
身の回りのどこにでもあるコンピュータ
現在、私たちの生活の中でコンピュータは常にどこにでもある状況になっています。コンピュータと聞くと「難しいもの」「操作に知識がいりそう」と思う人もいますが、私たちは気づかないところでコンピュータをいつのまにか操作し利用しています。
例えば身近な場所で考えてみると、自分の家の中にある家電品などには殆どコンピュータが入っています。コンピュータというとキーボードやマウスがつながっていて、自分がなにか操作をしなければいけないものと思うかもしれません。しかし、何もしていないときにも私たちの生活を豊かにするために知らないところで働いています。テレビ、エアコン、掃除機、洗濯機、電子レンジ、携帯電話、自動車、ゲーム機様々なものがコンピュータで動いています。
家電品の中には「チップ」と呼ばれる小さなコンピュータが入っていて、例えば、エアコンのスイッチをONにするボタンを押すと、チップの中に入っている命令が実行されて、部屋の温度を設定した温度に保つようにエアコンの風の量や温度を自動で調整したりしています。
ハードウェア・ソフトウェアとは?
手で触ることができる「ハードウェア」
コンピュータの物理的な部分、つまり手でもって、見える部分をハードウェアと呼びます。パソコンを思い浮かべてみると、マウスやキーボード、モニタなどがハードウェアにあたります。パソコンの中には様々な部品がはいっていて、例えば部品が沢山ついているマザーボードと呼ばれているものやメモリなどもハードウェアになります。
チップの中にある「ソフトウェア」
ソフトウェアは手に取って触ることができないもので、ハードウェアを動かすための命令やプログラムと呼ばれるものを指します。コンピュータの中で動作するもので、ハードウェアをどのように動かすかなどの指示を入れておくことで指示通りにハードウェアが動くようになったり、モニターなどに図や文字を表示したりして人の暮らしをたすけます。
パソコンでソフトウェアを作成する
コンピュータにはいろいろな種類がありますが、パーソナルコンピュータ、いわゆる「パソコン」もコンピュータのうちの一つです。パーソナルとは個人用という意味ですので、一人の人が使うために設計されたコンピュータです。これ以外にも1台のコンピュータを大勢で同時に使う汎用コンピュータなどがありますが「パソコン」は最も一般的に多く普及しているものです。
パソコンにはノート型やデスクトップ型などがあります。
パソコンでは、主にデータを作ったり情報を調べたり、自分のデータを整理したりします。
パソコンの中にはいろいろなソフトウェアが入っていて、文書を作ったり、家電品に指示を与えるためのプログラムを作ったり、カメラで撮った写真を整理したり、音楽を聴いたりと用途によって様々なソフトウェアが入っています。
それらソフトウェアで作った文書などは「データ」としてパソコンの中に残っています。データには様々な種類があります。書類だったり、家計簿などの計算データだったり、写真データや動画データなどがあり、データによってファイルの形式が変わってきます。
例えば画像データは「JPG(ジェイペグ)」という形式だったり、文字のデータは「TXT(テキスト)」という形式になるなど、それぞれデータの呼び名もきまっています。これらのデータを総称して「ファイル」と呼んだりします。
手直ししたり、探すのがとっても早い
今まで、紙で書類を作っていたり、写真を現像して紙にして保管していたわけですが、データにすることによって様々なメリットがあります。文章を作った場合、あとで作り直す時には最初に作ったデータを手直しするだけですぐにデータを直せます。手書きだといつも全て最初から作り直しになります。
また、データとして保管しておくと「検索」というデータを探す機能が使えます。データのタイトルや種類、中身からパソコンのなかのどこに保管されているかを数秒で教えてくれます。
紙で保管しておいたものを引き出しの中や本棚の中から探すのはとても時間がかかります。
データは他のコンピュータへ移動できる
パソコンで作ったデータは他のパソコンやコンピュータへ様々な方法で移動することができます。たとえば、SDカードやUSBメモリなどと呼ばれる小さなストレージ(データを保管できるパソコンに接続できるもの)にデータをコピーして、移動させます。
最近は、コンピュータがインターネットに接続されているため、インターネット経由でデータを送ります。電子メールに添付したり、クラウドドライブと呼ばれるインターネット上のストレージを利用してデータのやり取りをします。このあたりの具体的な話はコンピュータサイエンスの第7章の「インターネット」のところで詳しく解説します。
バックアップの重要性
コンピュータでデータを作成した際には、バックアップを作成します。これは不慮の事故やコンピュータが壊れた時にデータが消えてしまっても、データが失われないようにコピーを作成して別のストレージに移すことをいいます。
バックアップは先に述べたストレージにコピーを作成して置いておきます。
データを編集したら、再度バックアップを行います。
パソコンの世界
パソコンのシステムソフトとその種類
パソコンのハードウェアは、ノート型とデスクトップ型などがあり、さらにソニー、パナソニック、レノボ、デルなどメーカーにも様々な種類があります。でも、パソコンの種類と言うのはこのハードウェアのメーカーの種類ではなくて、パソコンに入っている基本ソフトウェア(システムソフト)の種類で分けられます。
パソコンには基本ソフトである「オペレーティング・システム」というものが入っていて、これらが入っているおかげで、モニターにパソコンで捜査している内容が表示されたり、マウスやキーボードから文字入力や操作ができるようになったり、データを作成したりすることができます。
このオペレーティングシステムは主に使われているものとして、以下の3つがあります。
これら3つのOS(Operating System)はコンピュータの基本的な操作や文字入力をする機能を提供していて、まだ高度な操作には対応していないため、アプリケーションソフトウェアと呼ばれる作業に応じた専門的なソフトウェアを用意してデータを作成したり、情報を得たりします。
書類を作るためのソフトウェアや画像を加工したり管理したり、ビデオの編集をしたりするソフト、用途に応じて様々なアプリケーションが用意されています。
文章作成アプリ(Word)
画像編集アプリ(Photoshop)
動画アプリ(iMovie)
新しい時代のコンピュータを活用した情報の「共有」
パソコンは個人用のコンピュータという話しをしました。近年ではスマートフォンなど、小型化されたコンピュータの登場により、いつでもどこでもコンピュータが使えるようになりました。ノートパソコンは持ち運びができるものの、すぐに取り出して利用することがなかなか困難です。
例えば、電車の中でニュースを読みたいと思った場合、ノートパソコンを出してインターネットを開いてみるのは大変ですが、スマートフォンなどを取り出してすぐに情報にアクセスできるようになりました。
他にも、電子メールのアプリケーションも直ぐ開き、予定表などもスマートフォンで管理でき、その予定を他の人と「共有」できるようになりました。
コミュニケーションツールとしてのスマートフォン
ソーシャルネットワーキングはここ数年すごい勢いで利用者が増加しています。有名なサービスのFacebookなどは友人らとの情報共有に利用され、スマートフォンのアプリを利用することで、いつでもどこでも気軽に友人・知人・家族と連絡がとれるようになりました。これも情報の共有の一環として使われていて、自分の情報を発信することで、近況の報告やメールほど文章のない、気軽な挨拶や連絡に利用されています。
スマートフォンにはカメラもついているため、だれもがカメラを持ち歩く時代にもなっています。カメラは美しい景色や旅行の記録を取るものから、今日やっている事やメモの代わりに撮影してしまうなど、利用方法の幅も増えました。
検索エンジン
検索エンジンは私たちの生活の中でなくてはならないものになりました。膨大な情報量のインターネットの世界から自分たちが求める情報を探し出してくれるものです。人は今まで分からないことをどうやって調べていたのでしょうか?それを忘れてしまうくらい当たり前のものになっています。
コンピュータサイエンスを学ぼう!
ここまで、コンピュータの世界を一挙に見てきました。Fabshopではデジタルものづくりに必要な知識としてこの「コンピュータ・サイエンス」の基礎を連載としてスタートすることにしました。子どもたちがいきなりプログラミングを始めるのもよいかもしれませんが、コンピュータ・サイエンスの基礎を学んでからスタートすることで、より効果的にコンピュータの活用ができると分かりました。
今回は「0章」ということで、コンピュータの世界をざっと見てまいりましたが、これから第1章のコンピュータサイエンスを学んでいく事にしましょう。