CS-2章 ハードウェアを理解しよう
【CS02-06】コネクテッド家電
前回「自分でコンピュータを作る時代」では今まで日曜大工や趣味のクラフトなどDIYの世界にもコンピュータが利用されるようになる時代がやってきているという話しをしました。その中でIoTという「モノのインターネット」についても触れました。
いよいよIoTの時代がやってきています。今回はIoTをより具体的に説明するために「コネクテッド家電」を紹介します。海外などではConnected Appliances (アプライアンスとは家電や器具を意味します。)と呼ばれていて大手家電量販店にはそのコーナーが広がっています。日本国内でも少しずつですが認知度が高まってきていて、パナソニックや日立などの大手メーカーも開発を進めています。
スマート家電で快適生活!
コネクテッド家電の「コネクテッド」とは自宅にある様々な家電がネットワークに接続されるという意味です。今までは家電を動かす場合に、その場所まで行ってスイッチを入れたりしていましたが、スマートフォンのアプリケーションや音声、または家電が家庭内の状況を把握して勝手に電源を入れて動作を始めたりします。”スマート”とは「賢い」という意味もあり、コネクテッド家電はスマート家電と呼ばれたりもします。
このハードウェアの章で学んできた通り、コンピュータが小さくなることであらゆる家電品に搭載されるようになってきました。人々はこれらを自宅に導入することでさらに快適な暮らしを手に入れる事ができます。
冷蔵庫がインターネットと繋がった
コネクテッド家電を進める日立から発売されている冷蔵庫はスマートフォンと連携します。離れたところに居ても冷蔵庫の運転状況を確認でき、1日のドアの開閉回数や温度設定、急速製氷の指示などが簡単に行えます。食材管理機能では保存食材をスマホで撮影して消費期限を設定しておくことでプッシュ通知してくれます。
外出先から中身を見る機能や入れた商品の自動登録などはまだ研究段階ですが、すでにスマート冷蔵庫の時代がはじまっています。
電球色をフルカラーで変更。音声でON/OFFも。
電球にもコンピュータが搭載され、インターネットに接続されています。1600万色のフルカラーを表現でき、ランプの組み合わせで部屋のランプの色を自由に設定できます。例えば「リラックスする色」や「バハマビーチの夕日」など気分や情景から色のセットも選べます。
スマートスピーカーと組み合わせることで「リビングの明かりをつけて!」とか「トイレの電気を消して」など音声でのコントロールも可能です。もちろんスマートフォンで出先からON/OFFも可能です。
スマートロックで自宅の鍵がオートロックに!
出かける際に自宅の鍵をかけ忘れたとか、カギを落としてしまったなんて経験ある人も多いのではないでしょうか?そのような時に活躍するのがスマートロックです。スマートフォンのアプリから自宅の鍵を閉めたり開けたりすることができます。鍵をかけ忘れたとしても出先からロックがかけられます。
鍵やドアは従来のままでOK。スマートロックを取り付けるだけです。鍵を開けたら数秒後にオートロックをかける機能や、認証されたスマートフォンが近づいたら自動でロックを解除するなんていう機能もついています。
これらもスマートスピーカーと接続しておけば音声でも鍵の開け閉めができます。外出中に信頼できる友人がモノを届けに来たら玄関を開けてモノを置いてもらい、出ていったら鍵をかけるなど、今まで出来なかった対応が可能になります。
防犯カメラもスマートフォンで
自宅に設置した防犯カメラもIoT対応のものにすることで、出先でカメラに映っている様子を見たり、録画されている内容を確認したりすることができます。カメラはワイヤレスで配線なども必要なく、屋内外に設置してその映像は出先のスマートフォンなどでも見る事が可能です。センサーで動きがあったときのみ撮影したり、常に撮影したりなども可能です。動画はクラウド上に保存できます。
スマートスピーカー・スマートHUB
スマートスピーカーはメーカー各社から様々な種類のものが発売されています。コネクテッド家電を導入するなら、もはや必需品でもあります。
スマートスピーカーは、音声で指示してインターネットの情報を検索してその結果も音声で教えてくれます。聞きたい音楽なども自分のスマートフォンやインターネットから探して流してくれます。それだけでなく他のコネクテッド家電と連携するため、先に紹介したスマートランプなどと連携した時に「和室の電気を少し暗くして!」などのように音声でON/OFFしたり調光したりできます。
スマートスピーカーは多くのメーカーからリリースされていますが、音声認識と人工知能についてはAmazon社が開発したAlexa(アレクサ)もしくはGoogleアシスタントのどちらかになっています。
このスピーカー機能にさらに小型のモニタが搭載されたものをスマートHUBと呼び、YouTubeの映像やテレビ電話、写真の表示などインタラクティブな内容を表示できます。HUBとスピーカーは共存もできるため、音楽はHUBについている簡易的なスピーカーでなくスマートスピーカーで聞いて、インターネット検索やテレビ電話などの音声はHUBのスピーカからと使い分けも可能です。
スマートフォンの写真や動画、YouTube映像などをテレビに表示!
スマートフォンで撮影した写真や動画、スマートフォンの画面をテレビに表示したいときに使うのがキャスティングデバイスです。Googleが発売しているChrome castなどが有名です。
スマートフォンの小さい画面ではなくテレビにキャストすることで大勢で一緒に写真や動画を楽しむことができます。
もちろんスマートスピーカーとも連動するため、音声で指示した内容をテレビ画面に表示することが可能です。
AIを搭載したロボット掃除機
掃除機もIoT化が進んでいます。特にロボット掃除機では、出先から掃除の指示を出したり、その進捗を確認することができます。ロボット掃除機は人工知能を搭載しているため、自分の周辺を360°カメラで認識して、部屋の状況を理解しながら、部屋の形、障害物の位置を確認しながら最適なルートを学習していきます。最初は時間がかかっていた掃除も部屋の形を理解していく事でどんどん早くなっていきます。
部屋をどのように何時間かかって掃除したのかの記録も残り、掃除中に電池がきれそうになると自分でドックにもどり、充電完了すると再度掃除を開始し、すべて終了したらドックにもどります。
電源自体をコントール。タイマーやスケジュール機能も。
ここまで様々なコネクテッド家電やIoT製品を見てきましたが、家庭内で利用できる製品は今後も様々なものがインターネットに接続され、スマート家電として皆さんの生活を助けていきます。
他にもIoT化されていない家電品は沢山あるとおもいますが、それらは電源のコントロールを行うだけでもとても便利に使えるようになります。
例えば、自宅にイルミネーションを設置したい場合、夜になったら自動で点灯したり、出先から消し忘れた電気製品の電源を消したりしたいものです。その場合はスマートプラグを使って電源自体をコントロールします。
無いものは作る!
Fabshopではマイコンを使ったものづくりを推奨しています。前回の話題でも触れたように自分が必要としているコンピュータは自分で作れるようにもなってきました。ここまで紹介したコネクテッド家電でカバーできないものは自分で作るのも楽しいものです。小さなマイクロコンピュータでIoT製品をDIYで作るという趣味はこれからもっと広がっていくでしょう。
当サイト内にある作り方の記事などを参考にして是非自分のアイデアを使ってIoTでもっと楽しく便利な生活を手に入れましょう!