簡単!ハンダ付け講座(01.ハンダ付けの基礎知識)

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ハンダ付けの基礎知識

電子工作とは切っても切れない関係性の「ハンダ付け」。設計した回路を実際に使用する場合に必須となる技術です。

本連載では、ハンダ付け初心者のかたがハンダ付けについて「ざっくりとわかる」ように解説していきます。

ハンダ付けの表記
はんだ付け、半田付け、ハンダづけ、など様々な表記がありますが、本講座では、読みやすさなどを考慮してここでは「ハンダ付け」の表記を使用します。

ハンダ付けとは?

ハンダ付けされた電子部品
ハンダ付けされた電子部品

初心者の方のざっくりとしたハンダ付けのイメージは、「溶かした金属(ハンダ)で電子部品と基板をくっつける」という感じでしょうか。ある意味で正しく、厳密にはもう少し、というところです。

正しい表現に近づけると、「電子部品および基板間等をハンダを使用して電気的に接合する」という言い回しになります。電気的にくっついている、というのが重要です。
電気的にくっついている、という言葉をより正確に表現すると、「電子部品、基板、ハンダが合金層を作り、電気的に接合している状態=正しくはんだ付けされた状態」になります。

この辺りは、金属の化学変化など奥が深い内容なので、「ちゃんとハンダ付けされると電気的にくっついている」ということがなんとなく理解できていればOKです。

ハンダ付けに必要なのは「熱」と「フラックス」

ハンダ付けに必要な熱について

ハンダ付けは、溶かしたハンダを使用して、電子部品同士を電気的にくっつける作業です。
ここで必要な「熱」というのは、適切な温度があります。
従来使われていた(今も少数あります)鉛入りのハンダ(共晶ハンダといいます)は、温度が183℃になると溶融します。
環境に配慮された、現在多く使われている鉛フリーハンダは温度が217℃になると溶融します。
ハンダ付けする部分が217℃を越えたときにハンダをその部分に付けると、ハンダが溶けて部品とハンダの間に合金層ができます。これがハンダ付けされている状態です。

もう少し、実際のハンダ付け作業に合わせた説明をすると、以下のようになります。

  1. 電子部品、基板などの相互にハンダ付けする場所をハンダごてを使用してハンダが溶ける温度まで加熱します。
  2. ハンダが溶ける温度になったら、ハンダをハンダ付けする場所に供給します。
  3. ハンダごてを離して、温度が低下するとハンダが固まります。

実際のハンダ付けの様子は以下の動画のような感じになります。
(リード部品のハンダ付け)

基本的に熱は「逃げていく」

ハンダ付けをする際は、ハンダごてを使用して、部品や基盤のハンダ付けする部分を加熱します。ハンダごてを当てている間は、基本的に「熱を与えている」状態です。そして、ハンダごてを離したときは、放熱して室温まで温度が戻ります。
また、ハンダごてを当てている間も、ハンダごてからの熱は部品や基板に逃げていきます。
この温度のコントロールが、ハンダ付けのキーポイントになります。

温度が高ければいいということではない

ハンダごての温度が高ければ簡単にハンダ付けをする場所の温度を上昇させ、簡単にハンダ付けができそうですが、実はそうではありません。
ハンダごての温度が高すぎる場合、以下の問題が発生します。

  • 部品や基板が高熱により変形したり破壊されたりする。
  • ハンダに含まれるフラックス(後述)が一瞬にして蒸発してしまい、ハンダがきれいに流れない。
  • こて先がすぐに酸化してしまい、熱を部品や基板に伝えることができなくなる

ホームセンターで売っているようなハンダごては先端温度が500℃を越えるものなどもあるため、電子工作用と書いてあっても扱いにくいです。

ハンダがきれいに流れるためにはフラックスが必要

フラックスは、ハンダ付けをスムーズに行うための補助剤です。

金属は空気中の酸素と反応して酸化膜を形成しやすく、この酸化膜があると、ハンダが金属にしっかりと付着することができません。フラックスは、この酸化膜を除去し、ハンダと金属の濡れ性を向上させることで、ハンダ付けを容易にします。

具体的には、以下の役割があります。

  • 酸化膜の除去: 金属表面の酸化膜を溶解または中和し、ハンダが金属に直接接触できるようにします。
  • 濡れ性の向上: ハンダの表面張力を下げ、ハンダが金属表面に広がりやすくします。
  • 酸化防止: ハンダ付け中に金属が再酸化するのを防ぎます。

私たちがハンダごてでハンダ付けをする際は、糸ハンダの中にフラックスが含まれているものを使用するのが一般的です。糸ハンダを購入する際は「ヤニ入り」や「フラックス含有」などの記載があるものを選びましょう。含まれるフラックスの種類については「無洗浄」タイプのフラックスが使用されているものを推奨します。

フラックス入りの糸ハンダ
フラックス入りの糸ハンダ

ハンダ付けは難しくない!

今回は理論を中心に解説しましたが、実際のハンダ付けは基本さえマスターすれば驚くほど簡単です。

次回はハンダ付けに必要な道具について解説します。
→ 簡単!ハンダ付け講座(02.ハンダ付けに必要なもの)