簡単!ハンダ付け講座(04.ハンダ付けに挑戦!)

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いよいよ実際にハンダ付けします

ハンダ付け作業は「スピーディーかつ適切な時間」で作業を終えなくてはなりません。
ハンダごてを当てる時間が短ければ当然ハンダは溶けませんし、長時間こて先を当て続ければ部品や基板がこて先の熱で変形したり破損したりします。

正しいハンダ付けの基本を理解して、オリジナルの電子工作に応用しましょう。

基板と部品について

ハンダ付けの際に知っておきたい最低限の基盤と部品の各部の名称(ハンダ付けに関連する部分のみ)です。

ハンダ付け箇所 各部の名称
ハンダ付け箇所 各部の名称
  • リード
    基板に取り付ける部品のうち、穴に挿しこんでハンダ付けする部品の「足」の部分です。このリードが部品の電極です。
  • ランド
    上記のリードを挿しこむための穴の周囲にあるハンダが付く部分です。
  • スルーホール
    リードを挿しこむ穴の部分をスルーホールと言います。スルーホール内に基板の電極がある場合、この中にもハンダが流れこみます。
  • パッド
    表面実装のチップ部品などをハンダ付けする基板上の電極です。
  • パターン
    基板上の配線ルートとなる部分です。

1か所のハンダ付けは「5秒」

適切な条件でハンダ付けが行えるとすると、1か所のハンダ付けに必要な時間は約5秒です。

以下の動画は実際にピンヘッダーをハンダ付けしています(こて先はT18-3Cを使用しています。設定温度は350℃、鉛フリーの糸ハンダを使用)。
動画視聴後、解説をご確認ください。

  1. スタート(0秒):構える
  2. 加熱(約2秒):こて先を部品リードと基板のランドの双方に当てて加熱する
  3. 糸ハンダの供給(1~2秒):加熱したハンダ付け箇所に糸ハンダを供給して溶けたハンダが部品リードと基板に流れる(糸ハンダはこて先ではなくランドに先端をつける)
    ハンダの量が少ないときは、さらに糸ハンダを送り込みます。
  4. ランド全体にハンダが流れた後、糸ハンダを先に離す。
  5. 1秒弱くらい待った後、ハンダごてを離す。
  6. 放熱されハンダが固まったら完了です。

状況によりハンダ付けの時間は前後しますが、基本的にはこれくらいの時間感覚で行うと良いかと思います。

Raspberry Pi Pico Wのピンヘッダ―をハンダ付け

Raspberry Pi Pico W(以下Pico W)をブレッドボードで使用するためにはピンヘッダ―と呼ばれる部品をハンダ付けする必要があります。
始めてのマイコン利用をPico Wで行う方も多いと思いますので、この作業を例にハンダ付けの実際の作業を解説します。

こて先は3Cがおすすめ(例でも使用しています)ですが、少し大きいので隣のピンに当たらないようにするために少し小さめのものでもOKです。ハンダごてに付属するB12でもできます。
下の図の赤い線の部分を接触させて加熱するイメージでやってみましょう。

ハンダ付けの際の注意

ピンと基板をこて先で加熱するのですが、加熱しすぎるとピンヘッダの台が溶けてきます。
基板やブレッドボードが動いて作業しづらいときは、マスキングテープなどで固定しても構いません。
基本的にハンダ付けは失敗すると修正が難しいです。ピンヘッダーを20本ハンダ付けした後に逆向きだった・曲がっていたなどがあると直せないレベルです。

  1. Pico Wには片側に20個のスルーホール(ピン取り付け用の基板穴)があります。これに併せてピンヘッダーを20ピンでカットします(カットされていないものを使用する場合)。
  2. 慣れないうちはブレッドボードを使用して、ピンヘッダーや基板が動かないようにしてハンダ付けすると簡単です。ブレッドボードに、基板幅に合わせてピンヘッダーを挿しこみます。ブレッドボードにしっかりとピンヘッダーの長いほうを挿しこみます。奥までしっかりと挿しこみましょう。
  3. 挿しこんだピンヘッダーにPico Wの基板をはめ込みます。
  4. ピンヘッダー、Pico Wが密着していることを確認して、ピンヘッダーの両端のピンをハンダ付けします。基板の外側からこて先を当てると、基板上の部品にこて先が当たらないので安全です。こて先を当てるときは「ピンヘッダーのピン」と「基板のランド(穴の周辺のハンダが付く部分)」の両方に当たるようにします。
    これで基板がぐらつかなくなりました。
  5. 2番目のピンから順にハンダ付けを行います。
    Pico Wを縦長に置いたほうが作業がしやすいかと思います。
    ハンダ付けの際に、糸ハンダを供給する量とタイミングについてですが、初期の加熱後に糸ハンダの先端を基板のスルーホールにつけると、少量が溶けます。このときに糸ハンダを離すと、加熱されたスルーホール(基板の穴)にハンダが吸い込まれるように流れていきます。この瞬間にもう一度糸ハンダをちょっと当てて、ハンダの量を調整します。富士山の裾野のように流れていればOKです。
  6. すべてのピンのハンダ付けが終わったら全体の仕上がりを確認します。

これで完成です!

【参考】慣れてる人によるピンヘッダーハンダ付け

ハンダ付け作業に慣れている人が行った際の動画です。
通常はここまで連続して作業しなくても大丈夫です。早さよりも正確なハンダ付けが重要です。

基本はこれでOK

Pico Wのピンヘッダーのハンダ付けは、安定したハンダ付け技術の取得に最適です。
スルーホールにリードを挿しこんでハンダ付けする部品に関しては、ほぼこれと同じようにハンダ付けすればOKです。

焦らずにヤケドやケガに注意しながらハンダ付けを行いましょう。